もうすぐ夏がやってきますね。夏と言えば気を付けたいのが熱中症。
熱中症予防にこまめな水分摂取が求められるので、スポーツドリンクを飲まれる方が多いでしょう。
しかしそのスポーツドリンク、果たして歯の健康に対してはいいものなのでしょうか?
そこで、今月はスポーツドリンクに焦点を当ててみました。
結論から言うと、スポーツドリンクは歯にはあまりよくないのです。
ほかのジュースのように甘いわけでもなく、味も爽やかなのになぜ?と思う方が多いでしょうが、順を追って説明していきたいと思います。
①スポーツドリンクには「糖質の量が多い」のです。
砂糖がむし歯菌の栄養になることは皆さんご存じでしょう。スポーツドリンクのラベルに書かれている「栄養成分表示」を見てみると、皆さんが良く目にする「炭水化物」の量が書かれています。その炭水化物の量が糖質の量に相当するのです。
スポーツドリンクの代表的なものとして、ポカリスエットを例に出すと炭水化物の量は6.2g(大塚製薬HPに記載)。栄養成分表示は1000mlの場合なので、ペットボトル一本、つまり5000mlだと約30gとなります。
それに、砂糖の他に「果糖ぶどう糖液糖」が入っているので、「砂糖と果糖ぶどう糖液糖を合わせた糖質の量が30g」ということになります。果糖ぶどう糖液糖もむし歯菌の栄養になるのです。30gは、角砂糖で例えると8~10個分になります。(1個3~4g)
②それは意外に多く「酸が含まれていること」です。
甘さのせいで感じにくいのですが、実はかなり酸性度が強いのです。
むし歯菌の出す酸が歯を溶かすのと一緒で、歯は飲食物の酸でも溶けるのです。口の中は普段pH7程度(中性)に保たれていますが、飲食をすることでpH値が下がるのです。pH値が5・5~5・7(むし歯を想定した場合)以下のpH値の飲み物は歯を溶かす可能性があります。スポーツドリンクのpH値は4近辺です。
※dentwave.com:
https://www.dentwave.com/article/
imai122/より
スポーツドリンクは水分補給のためにこまめに飲む方が多いです。そうすると、絶えず口の中のpH値は下がり、歯が溶けやすい環境が長く続いてしまいます。なのでチビチビ飲みは避けて、飲んだ後には口を良くすすいでほしいです。
スポーツドリンクは味がよく、ポジティブなイメージがある飲み物です。しかし説明したように、歯や体の健康には必ずしも理想的とはいえません。時と場合を考え、賢くお付き合いいただければと思います。