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【歯周病治療】除菌治療について


杉並区下井草の顕微鏡歯科・予防歯科・未来型歯科:さくら歯科の吉村です。

今回の『さくら歯科通信』では、歯周病の除菌治療についてご説明いたします。

歯周病とは、別名『国民病』とも呼ばれるお口の感染症で、日本人の成人の約8割が歯周病に罹っていると言われるほど、メジャーな病気です。

お口の疾患なので、あまり重篤な病気に思われないのが残念なのですが、歯周病とは歯周病菌による感染症です。まずは、そちらをご理解いただければと思います。

それでは、当院における歯周病の除菌療法についてご説明していきますので、ぜひ最後までお読み下さい。

除菌治療について

むし歯もそうですが、歯周病もばい菌(微生物)が原因の感染症です。ですから、原因菌を取り除かなければ、根本解決はできないのです。そのため、当院では、歯周病治療として『除菌治療』を行っています。『除菌治療』とは、感染している原因菌の除菌を行うことで、歯周病治療の効果を高める事を目的としています。『除菌治療』により、歯周病治療自体の負担を減らすことができるというメリットもあります。

下記はいわゆるプラーク(バイオフィルム)です。この中には、多くの歯周病菌が存在し、炎症などを引き起こします。これが歯周病の原因です。

そして、これらの歯周病菌を一掃するためには、2つの方法があります。

まず1つ目は、歯磨きとP.M.T.Cです。(PMTCとはこちらをご参照ください

P.M.T.Cは、予防歯科治療の一環として行われる歯科治療で、歯科医院にて特殊な器具を用いて、歯科衛生士が歯を綺麗にする歯のクリーニングのことです。

これらは主には機械的な細菌の除去とされ、しいては「量のコントロール」の位置づけで治療が行われます。

一方、2つ目の治療である『除菌治療』は、いわば「質のコントロール」です。従来の、ブラッシング指導やP.M.T.Cとはアプローチを変えて、ばい菌を制御する治療です。(除菌治療については、こちらを御覧ください

それでは、『除菌治療』について具体的にご説明していきます。

除菌治療は、下記の流れで行います。

治療の手順

1.位相差顕微鏡、リアルタイムPCR法での菌の確認
2.除菌法のご提案
3.除菌後の歯石取り
4.位相差顕微鏡検査・リアルタイムPCR検査・歯周ポケット検査(再評価 )

 

個人差はありますが、上記の治療で、下記のような変化が見られます。明らかに歯周病菌が少なくなっているのがお分かりいただけると思います。

(上:治療前/下:治療後)

それでは、この『除菌治療』の中のリアルタイムPCR法について、もう少し詳しくご説明いたします。

リアルタイムPCR法

リアルタイムPCR法とは、いわば歯周病菌のDNA検査のようなもので、重度歯周病、難治性歯周病、再発性歯周病の方などに有効です。歯周骨の吸収が強く、位相差顕微鏡での菌の活動性の高い場合、また歯肉の炎症が強いケースに特に役立つ検査です。臨床症状と位相差顕微鏡所見が一致しなかった場合の診断にも利用されます。

具体的には、菌のDNA鑑別で細菌の種類を確定し、その細菌に合う抗生剤を決定します。

このようなケースに

● 歯槽骨の吸収が高度
● 位相差顕微鏡での菌の活動性が高い
● 歯肉の炎症が高度
● 臨床症状と位相差顕微鏡所見が一致しない

効果例

● 咬み合わせの痛み改善 79%
● 歯ぐきの腫れ改善 77%
● 歯のグラグラ改善 66%
● 歯のしみる感じ改善 65%

自覚症状の強い方ほど1週間後の変化を大きく実感します。

費用について

歯周病の除菌治療の費用は、お口の中に残っている歯の本数によって異なります。また、除菌の成功率は約90%ですが、失った骨が全て戻る訳ではありません。
ただし、1週間の治療で、噛み合わせの痛みが改善したり、歯ぐきの腫れが改善したり、歯のグラグラ感が改善したり、と感じる方が多くいらっしゃいます。

治療期間は2ヶ月程度です。終了後、保険治療も可能です。
しっかり治したい方は、もちろん磨いても、磨いても、良くならない方、治すことをあきらめてしまった方、治療に疲れてしまった方。諦めずにお気軽に当院にご相談ください。
そんなあなたの喜びは、私たちの喜びです。

費用 30,000円〜

おすすめできない方

喫煙者/メインテナンスに通えない方/ダイエットをしている方/血液疾患(貧血)の方
重度糖尿病の方/根尖に病巣がある方/じん肺の方/他の病気で抗生剤を多く服用している方
お薬にアレルギーのある方/妊娠・授乳中の方

注意が必要な方

制酸剤・ワーファリン・シクロスポリン・メシル酸ネルフィナビルなどを服用中の方
重い肝臓障害のある方/カリエスや不適合な被せ物が多い方/生理中の方
再感染の予防

その他ご注意事項

下記の行為で歯周病菌に再感染をする可能性がありますので、注意が必要です。
回し飲み/回し食い/箸の使い回し/キス/くしゃみ など

青梅市東青梅駅7分 近藤歯科医院|無痛・丁寧・誠実な歯医者

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【歯周病菌について】歯周病菌を知ろう


杉並区下井草の顕微鏡歯科・予防歯科・未来型歯科:さくら歯科の吉村です。
今回のコラムは、様々ある『歯周病菌』について説明していきたいと思います。歯周病と聞くと、なんとなくのイメージで、歯や歯ぐきの病気なんだろうな、あまり自分には関係ないかな、と思われる方が非常に多いのでは無いでしょうか?

当然のごとく、歯周病というお口の病気は、初期段階ではほとんど無症状の病気です。悪化し、重篤化しないと、目に見えた症状は起こらないので、沈黙の病気とでもいいましょうか。

いずれにせよ、非常にやっかいなお口の病気だとご理解いただければと思います。それでは、歯周病について、是非知っておいていただきたい点を簡潔にまとめてお知らせしたいと思います。

最もメジャーな感染症、それが歯周病

世界で最も、患者さんが多い感染症とは何だと思いますか?
ズバリ、『歯周病』です。この事実は、実はギネスブックにも認定されているほどなのです。

そして、日本人の30歳以上(成人)の8割程度が、この病気にかかっています。このあたりは、歯科業界では有名な話ですが、一般の方々には、残念ながらあまり認知されていない事実です。

まずは、歯周病の進行について「おさらい」してみましょう。
歯周病は、下記のように症状により4段階に分けられます。右にいけばいくほど進行しているということです。もちろん、初期の段階の方が治療は簡単で、深刻化・重症化すればするほど、治療は複雑になります。

 

歯周病のなりたち
最初に述べたとおり、歯周病は感染症であると同時に、実は『生活習慣病』でもあります。皆さんの食生活を含めた生活習慣により起こる感染症ですので、皆さんの心がけ次第では、歯周病を起こさせない進行させないようにすることが可能です。ここは、とても大事な所なので覚えておいていただければと思います。

それでは、ここから本コラムの本題に入ります。

まずは、歯周病を感染症としての側面からお話をしてみたいと思います。

感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が身体に入り、引き起こされる病気をいいます。 すなわち歯周病菌がこの病気を引き起こしているということです。

まずは、悪玉歯周病菌の存在です。その名も「レッドコンプレックス」といわれる歯周病との関連性が最も高い3菌種です。

次の3菌種がレッドコンプレックスです。

レッドコンプレックス

・Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)

・Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)

・Tannerella forsythensis(タネレラ・フォーサイセンシス)

それぞれ、P.g菌、T.d菌、T.f菌と略されることが多いです。

3つの悪玉菌について

このレッドコンプレックスと言われる悪玉歯周病菌のうち、まずはPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)について、もう少し詳しく説明します。

Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)いわばP.g菌は、慢性歯周炎の原因菌で、慢性歯周炎患者さんの歯周ポケットから、高頻度で検出されます。付着する能力が非常に強いため、バイオフィルムの形成に役立っているといえるでしょう。また、P.g菌の内毒素は、骨を溶かす作用があるだけではなく、口腔内で悪臭を放ちます。

 

歯周病の悪臭は、このP.g菌の内毒素が関与しているのです。

P.g菌の問題

・慢性歯周炎の原因菌

・強力な付着力

・内毒素は悪臭を放つ

 

ちなみに、このP.g菌はグラム陰性細菌で、黒色集落形成菌に分類されます。最も悪い菌と現在は言われています。

 

次に、Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)です。いわばT.d菌は、歯周病の病巣局所で増加が見られ、歯周組織の中や血管の中にまで侵入して増殖していきます。

 

そして、Tannerella forsythensis(タンネレラ・フォーサイセンシス)です。T.f菌は、慢性歯周炎の病巣局所見られる歯周病原生菌です。

紡錘状という特徴的な形態をしており、Fusobacteriu nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアータム)が周囲にいると、発育が促進されるという性質を持っています。また、P.g菌と同様、内毒素によって歯周組織に悪影響をもたらします。

(参考:みんなの歯学より改変)

歯周病の治療について

繰り返しますが、感染症とは病原性の微生物が人の体内に侵入することで引き起こす疾患です。

医科では薬剤、サイトカイン、抗体を投与する方法が一般的です。歯科では、歯周病の治療に薬剤を投与する方法がとられます。(主に急性期:痛みがあるとき)

歯科では、歯周病の治療に低用量ドキシサイクリン投与法が効果的とされていますが、日本では保険適応ではありません。日本では日本歯周病学会が「歯周病患者における抗菌療法の指針 2010(リンク)」を出しており、どなたでもPDFファイルでご覧いただくことは可能です。

この資料では、

抗菌療法の目的は、 1. 急性炎症の軽減、2.スケーリング・ルートプレーニング(SRP)による臨床的治療効果の促進、3.菌血症の予防、4.歯周治療後の感染防止である。症例ごとに、目的を明確にして抗菌療法を実施し、乱用、漫然とした使用、長期投与は慎むべきである。とあります。

私もこれに賛成です。つまり、まず最初から抗菌療法(薬物投与)ありきではなく、予防メンテナンス中心で治療をすすめるという事です。

一方で、エビデンス、ガイドラインありきの治療は慎むべきと考えております。ガイドラインを知っている上で、どう扱うかがとても大切だと考えます。

私はかかりつけ歯科医院として、医学的に納得できる範囲内で、患者さんに寄り添った提案ができることが大事だと思っています。これからも少しでもいいと思う治療を価値観の共有できる方と分かち合っていきたいと思います。

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