さくら歯科通信

2017

10/30

【周術期医療について】周術期医療のセミナーに参加して参りました。


 

杉並区下井草の顕微鏡歯科・予防歯科・未来型歯科:さくら歯科の吉村です。

「病院と歯科診療所との周術期医療連携の現状と今後」東邦大学医療センター大森病院における周術期口腔機能管理体制と地域歯科連携体制について~の講演を伺いに行ってきました。

「周術期」というのは耳慣れない言葉だと思いますが、手術を挟んで手術前から手術後にかけての期間のことを言います。手術後のことを手術前から十分に評価し、手配を済ませておき、安全で安心な診療をお届けすることを目的にセンターは設立されたそうです。つまり、手術は手術室の中だけで完了するものではなく、手術前の周到な準備、手術中の綿密な全身管理、そして手術後の厳密なフォローアップを揃えることで、安全で安心な手術を受けることができる、と考えられています。その構成メンバーに歯科医、歯科衛生士が入っています。

周術期で歯科は、術前の口腔ケア、抜歯を含めた感染源の治療、除去、トゥースガードの作製、入院後にはRST(Resperatory Support Team:呼吸サポートチーム)、嚥下チームの一員として、また化学放射線療法後のケア、に関わっていきます。

 

ここでは、町の歯科診療所で行うことが出来る周術期医療についてお話をしたいと思います。
まず術後肺炎が起きないように口腔ケア、歯周病の改善、感染源の除去を行います。ここで大切なことは、全身状態が良好な場合の歯科治療ではなく、全身疾患予防の為の歯科治療を行うことです。
特に、心血管手術、移植、人工関節置換術、骨髄移植は完全に感染源を除去する方がいいこと、がん手術(呼吸器、上部消化管)、脳神経外科は口腔内表面に汚れがあるといけないこと、を教えて頂きました。
また全身麻酔の気管内挿管時に前歯が脱落したり、被せ物が壊れたり、しないようにトゥースガードの作製を行います。これを作製するようになって、挿管時のトラブルはなくなったそうです。

次に、化学放射線治療に関して、です。頭頸部の放射線療法、抗がん剤による口腔トラブルとして口腔粘膜炎(口内炎)、口腔乾燥症が起こります。その緩和ケア、対処法について教えて頂きました。ここでは、患者さんの苦痛を除去するだけでなく、治療を完遂させることがとても重要になります。

そして、がん終末期の口腔ケアについて、です。「緩和医療における口腔ケアは苦痛や不快感の緩和、最後の一口への補助に過ぎないので、要求の無い場合には負担にならない程度に行うことで患者の気持ちを顧みないことは最悪です。」とのことでした。QOL(生活の質)を最後の最後まで支える医療は、医療従事者の押し付けからはいい関係が築けないのでしょう。今後、政府の方針もあり、最後を自宅で迎える人が増えていくと予想されます。しっかり対応していきたいと思います。

最後に、ARONJ(Anti-absorptive Agent Related Osteo Necrosis of the Jaw)について、です。骨粗しょう症、がんの骨転移に使われる薬で骨の代謝が起こらなくなり細菌感染症を起こし骨が壊死してしまう病気です。お薬を服用、投与する前に、口腔衛生管理をすること(服薬後も定期的な管理が必要と思います。)、抜歯すべき歯を抜くこと、をお勧めします。

歯科でお手伝いできることもあります。是非、かかりつけ歯科医院(ファミリーデンティスト)を持たれることをお勧めします。